デュアル(二重の)目的を持ったデュアルキャリア/及川晋平

及川晋平
PwC Japan マネージャー、障害インクルージョンアクセレレーター

(原文)Dual careers with a dual purpose: PwC

多くのトップアスリートと同様に、及川晋平も難しい選択を迫られた経験がある―ビジネスパーソンとしてのキャリアかアスリートとしてのキャリアか。パラリンピックへの出場経験のある車いすバスケットボール選手、コーチ、監督として、及川は競技を中心としない人生は考えられなかった。幸い、PwC Japanが2010年に障害者アスリートのデュアルキャリアを支援するプログラムを導入したことによって及川の悩みは解決された。本プログラムでは、アスリートたちは競技を続けながらビジネスを学び、徐々に仕事への移行を開始することができる。この画期的なプログラムには導入開始から15名のアスリートが参加している。PwC Japanはこの取り組みを通して、晋平のように障害のあるアスリートがサポートされていることを実感しながら自信を持って競技と仕事に取り組めるように支援してきた。

晋平はコート上でスキルを磨くと同時に、ビジネスにおいても成功するためのツールを学んだり能力を身に着けることができた。このデュアルキャリアプログラムの最も魅力的な点は、PwCの同僚からのサポートを受けながらパラリンピックに向けて取り組めたことだ。スポーツキャリアを終えた後の自身のキャリアを脅かすことなく、競技に専念する時間を作ることができた。

「競技活動に集中していたときは、PwCの同僚がサポートして応援し続けてくれました。そして後にビジネスでのキャリアアップを目指した際は、彼らは私にとってのロールモデルとなってくれました。」

この12年間で、晋平のコート上での役割とPwCにおける役割は進化してきた。PwCがサポートを開始した当初は選手だったが、その後アシスタントコーチ(2012年ロンドンパラリンピック)、ヘッドコーチ(2016年リオデジャネイロパラリンピック)、そして直近では男子日本代表監督として東京2020パラリンピックで銀メダルを獲得した。競技でのトレーニングやコーチング活動と並行して、及川は昇進にも熱心に取り組み、徐々にビジネスにおけるキャリアも築いてきた。パラリンピックでの夢を叶える機会を与えてくれたPwC Japanには感謝していると彼は言う。PwCジャパンは働く人たちの幅広いニーズに応えた柔軟なワークスタイルを提供することで、異なるスキル・背景・能力・経験・視点を持った人たちを集結させ、様々な課題解決を可能とするインクルーシブな環境を実現している。

IFS部門(Internal Firm Services)のマネージャーとしてのビジネスキャリアにシフトチェンジをしている晋平は、PwCコミュニティに貢献しながらも競技とのつながりを維持する新しい方法を見つけている。一例として、PwCの社内外の人たちが車いすバスケットボールを体験できるプロジェクトを推進している。この活動を通して、他では得られない経験や気づきを共有することで人々が一つになることを晋平は願っている。これは障害の有無に関係なく、PwCのメンバーが一緒に自分らしく働ける環境づくりにも寄与する。

「PwCは、従業員の職場環境での働き方や課題解決方法を調整しながら適応していくことで、障害を持つ人々が快適に働ける環境を築き、可能性の再構築(reimagine the possible)を可能としています。」

晋平の挑戦はここでは終わらない。彼はPwC Japanにおいて、Ability Inclusion Networkの指揮も執っている。このネットワークに所属しているのは、障害者、障害者の介護に関わる人々、さらには障害インクルージョン推進に関心のあるアライ(ally)が含まれる。Ability Inclusion Networkでは定期的に対面およびオンラインで集まって、メンバー同士でのディスカッションや実務経験を通して様々な視点で障害について学べる場を提供している。晋平のデュアルキャリアは、自身のパラリンピックでの経験やその他の経験など、障害を持った人々が活躍できる環境を多いに活用してきたのと共に、その環境作りに自身が貢献することも可能にしてきた。

休みの日には、銀メダル獲得の立役者ともいえる愛犬のココと一緒に息抜きをしているそうだ。

LIGHTNING ROUND:一問一答

自身の経験から、PwCでのインクルージョン&ダイバーシティをどのように要約しますか?

まずはインクルージョンから始める。(※補足:そうすることで、多様性のどの部分の理解が必要なのか、どの部分の違いを尊重する必要があるのか、が実感できるから。)

PwCのインクルージョン&ダイバーシティへのコミットメントについて、何を知って欲しいですか?

自分たちが大切にしていることをどのように体現しているかの一例です。障害を持った人たちが快適に働ける環境を提供することで、「可能性の再構築(reimagine the possible)」を可能としています。

(翻訳協力:河原あゆ)

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ABOUTこの記事をかいた人

Jキャンプスタッフ、通訳・国際事業担当。 日本にて車椅子バスケ各種大会や車椅子バスケ、車椅子ラグビーなどのキャンプで通訳として活動したあと渡米。 イリノイ大学大学院でスポーツマネージメントを専攻しつつ、同大車椅子バスケ部のマネージャー、アシスタントコーチをつとめる。 2008年夏に卒業後、現在はカナダ・バンクーバーのBC Wheelchair Basketball Societyにてプログラムコーディネーターとして働く。 また、これまでも趣味としてプレーをしてきたが、障害が無くとも公式戦に出場ができるカナダでプレーヤーとして活動しはじめる。 2011年に行われたU25女子世界選手権大会には日本代表チームのACとして参加。