イギリスが銅メダルを獲得!( 9月28日)
イギリス車椅子バスケットボール協会公式サイトより
 訳者:事務局カネコ

(イギリス車椅子バスケットボール協会公式サイトより)

 デイビッド・ティトマスとプレイヤーたちにとって本当に長い道のりだった。だが、それがかなった今、すべての苦労の価値があったといえる。イギリス男子チームは 4年前のラスト数秒での敗北を踏まえ、今朝オランダに82対66で勝ち、銅メダルを手に入れた。

 最終的には、総合的な勝利だったが、イギリスはこの競技で初のメダルをとるにあたり、1 Qをビハインドではじめなくてはならなかった。ティトマスコーチにとっては、チームが過去3年間で世界選手権銀メダル、ヨーロッパ選手権銅メダルとなって、これが最終章である。今、ついに、彼らは最も大きな大会においてメダルを付け加えたのだ

 「もしも見返りがあるとしたら、これがその見返りです」ティトマスは今日の 16点差の勝利の後言った。「4年前の敗北は克服するのに時間を要しました。今やっと、あのときの思いにけりをつけることができます」

 このチームの多くの選手と同じく、アデ・アデピタンは 2000年の敗北の苦悩の中を過ごしてきた。「あれは本当にみんなの心の奥にあったと思います」と最終Qのヒーローは言った。「今回は負けるわけにはいかない、とみんながわかっていました。試合前、みんな本当に静かで落ち着いていたし、集中していました」

 「メダルが欲しかったからチームとして一緒にやってきて、そしてついに、それを手に入れました。当然の結果だと思っています」

 それはチームの努力であるが、今日の勝利はもうひとりのガード、ジョン・ポロックによるところが大きい。ポロックは大会前半で多くのターンオーバーを与えたことから、批判を受けていたが、今日は彼のナショナルチームとしての最後の試合で、 16秒を除いてほぼフル出場、イギリスの攻撃的プレイを指示し、チーム最多の31得点を挙げ、堂々としたパフォーマンスを見せた。

 「12年間、パラでメダルを取ることを夢見てきました」と27歳は言う。「そして、メダルを持ってナショナルチームでのキャリアを終えることができて、本当にうれしい」

 ポロックは世界屈指のプレイヤーのひとりとして知られるオランダキャプテン、リンデンとマッチアップした。「昨日の夜、ガールフレンドに電話したんです。彼女はこういってくれました。世界で誰が一番か見せてやって、って。僕にとってはこれまでで一番長い 4年間でした。個人的な問題もたくさんありましたが、ずっとパラのメダルが欲しかったし、今こうして得ることができました」

 ティトマスにとって、今日の勝利はイギリスのオフェンスがうまくいったことによるものであったという。「バックコートでのプレイは常に世界クラスなのだけれど」と彼は言った。「でも今日は求めてきたオフェンスプレイが随所に見られたし、オランダのプレスに対してよく対処したと思います」

 良いスタートを切ったのはオランダだったが、1 Qの最後に近づくにつれ差を縮め、ついには1Qを22−18のリードで終えた。

 しかしイギリスは2 Q、1分以下でそれを2点差とし、次の2分半で同点とした。ポロックは充分すばらしいゲームをしていたが、コンスタントにオランダの鋭敏なディフェンスをすり抜ける方法を模索していた。

 3分を残してイギリスはポロックのきれいな3ポイントのおかげで5点のリードに広げた。ポロックのもう1本のシュートがそれを7点差とし、イギリスが40−33となったとき、ハーフタイムを迎えた。彼らは2Qでオランダに22−11とし、ポロックは前半15得点で終えた。

 イギリスは3 Qも走り、ファイナルブレイクで12得点をリードした。確かに、彼らは負けることができなかった。オランダは4Qの開始で巻き返しを図ってきた。オランダはプレスディフェンスをしかけ、差は8点に縮まった。残り時間3分半で得点差は6点に。

 しかしイギリスは気力を保った。キャプテン、アンディ・ブレイクは波を維持しようとし、ポロックは開始と同じように、そう、ファイヤーして試合を終了した。 2本のロングシュートとセットアップしたサイモンへのポロックからの見事な1本のパスが再び、差を16点とした。

 ブザーが鳴り響いたとき、選手たちは勝利の喜びで高々と両手を挙げ、喜びと開放感からお互いに抱き合った。アテネでの最初の 2戦に負けた後の、決定的でふさわしい終わり方だった。

 「我々はこれまで何年も接戦を数多く繰り返してきたので、精神状況は保っていました。今日は我々のものでした」アデピタンは言った。

 「我々はオーストラリアやカナダにはまだ匹敵しないかもしれません」ティトマスは言った。「けれど、シドニーよりも基準は上がっていたし、これまででベストだったと考えられます。我々はその中で、ベストの位置にまで上がってきたんです」

イギリスの得点:
ジョン・ポロック 31点、サイモン・マン18点、コリン・プライス14点、ケビン・ヘイズ8点、フレッド・ハウリー7点、アンディ・ブレイク3点、シンクレア・トマス1点

クウォーターごとの得点:
1 Q イギリス18−オランダ22
2 Q イギリス22−オランダ11
3 Q イギリス19−オランダ14
4 Q イギリス23−オランダ19

(イギリス車椅子バスケットボール協会公式サイトより)

(雑記)
世界屈指の3ポイントシューター、 SG、ジョン・ポロック選手。
27歳の若さにしての引退表明。
個人的にも大好きな選手の一人であるだけに、彼のプレイが見られなくなることは、本当に残念でならない。
そんな彼はシドニーでサインを求められた女性と、結婚することになっているようだ。
車椅子バスケットボール代表選手としての仕事を銅メダル獲得、という形で締めくくり、新しい人生へと向かうジョン・ポロック選手。末永く、お幸せに!