圧倒的な力、その存在感。そして4年後へ。
記事:事務局カネコ
写真提供:sava

写真1パトリック・アンダーソン ( カナダ・ 4.5 点 ) 、ジョーイ・ジョンソン ( カナダ・ 4.5 点 ) 、トロイ・サックス ( オーストラリア・ 4.5 点 ) 、サイモン・マン(イギリス・ 4.5 点)、クーン・ヤンセン(オランダ・ 4 点)、そしてジョン・ポロック(イギリス・ 2.5 点)、ファビオ・ライモンディ ( イタリア・ 2 点 ) 、ガート・ヤン・ヴァン・デア・リンデン(オランダ・ 4 点)。世界屈指のトッププレイヤーたち。その圧倒的な存在感に、会場にいる誰もが魅了されたに違いない。

とにかくチームの中で頼れる存在。センター陣は、どんなプレッシャーを受けても何が何でもインサイドを守る、俺が必ず決める!というとてつもない力を出し続ける。

ガードのポロック、ライモンディ、リンデンはコート内で常にチームの指揮を取り続けていた。ここぞ、というときにアウトサイドからのシュートをしっかりと決め、流れをしっかりともぎ取る。彼らには、それぞれ見るものを魅了して止まないゆるぎない強さがあった。

パトリック・アンダーソンにおいては、他の追随を許さないものがある。
力強さとやわらかさを兼ね備えた肉体と、チームメイトの信頼を勝ち得る人間性。
準決勝オランダ戦、カナダチームの♯14、トラヴィス・ガートナーが後頭部から転倒。そのままプレイを続けるも、後頭部からの大量出血に気づいた審判がストップをかけたシーンがあった。エンドラインにいたギリシャカメラクルーが試合中のコート内にそのまま入ってくるというとんでもないことが起きた。そしてそのままトラヴィスに寄るカメラマン。パトリックはすかさずカメラの前に立ちはだかり、紳士的にカメラマンを御した。「撮影はやめてください」。 25 歳の若きキャプテンは、冷静に行動した。チームの中では今回初代表入りを果たした♯5ブラッドリー選手に続く若さのパトリック。その若きチームキャプテンは、コート内外で、その圧倒的存在感を見せ付けた。

パトリック・アンダーソン 25 歳、ジョーイ・ジョンソン 29 歳、トロイ・サックス同じく 29 歳、サイモン・マン 37 歳、クーン・ヤンセン 31 歳、そしてジョン・ポロック 27 歳、ファビオ・ライモンディ 32 歳、ガート・ヤン・ヴァン・デア・リンデン 38 歳。

ここ数年で頭角を現したイタリアのスーパー SG 、ファビオ・ライモンディ以外はシドニーでも大活躍をした選手たち。北京ではいくつかの世代交代が見られるだろうか。
写真2


オランダのクーン・ヤンセン選手はこれでナショナルチームを引退すると周囲に話しているし、イギリスのジョン・ポロックはすでにナショナルチーム引退を公に表明しており、同じくイギリスのサイモン・マンも、試合中体力の著しい消耗をうかがわせる場面が何度もあった。しかしイギリスはここ数年でジュニアの育成プログラムにも大きく力を入れており、現チームにもかつてのジュニア育成プログラム卒業生を多く抱えている。

カナダは全体的に若いチームであり、主力のパトリックもジョーイも、次の北京でその力を発揮するであろうことは確実だ。またオーストラリアも、トロイをはじめ現在 30 歳の力強いセンター、ブラッド・ネス、ここ数年で着実に力をつけているジャスティン・エヴァソン( 24 歳)など、 4 年後もきっちりと活躍することが伺える選手が多い。

藤本怜央日本は、スーパールーキー藤本怜央選手(宮城マックス、 4.5 点、 21 歳)が今大会大活躍、大器の片鱗を世界にはっきりと見せ付けた。 2003 年夏、イリノイ大学で初めて行われたジュニアエリートキャンプに当実行委員会スタッフとともに参加(詳細はコラムを)、カナダのヘッドコーチ、マイク・フログリーから、トリプル J というあだ名をつけられた。これは、カナダのジョーイ・ジョンソン( Joey Johnson )の名前が J が二つでダブル J であることから、ジョーイに似ている、ということでジャパニーズ・ジョーイ・ジョンソン( Japanese Joey Johnson )、 J が三つで「トリプル J 」としてつけられたニックネームだ。

同じく当実行委員会キャンプに連続参加、イリノイジュニアエリートキャンプにも参加した名門千葉ホークスのスーパールーキー、香西宏昭選手( 4点、16歳)は、マイク・フログリーからも注目を浴びている選手の一人だ。センスだけではなく、きちんとした 基礎を着実に身につけ、それを積み上げて成長してきた、今までいなかったタイプの充実したプレイヤー。 全日本合宿にも参加し始めており、今度の北九州チャンピオンズカップでは、16歳にして初の全日本入りを決めている。
香西宏昭

4 年後の北京、藤本選手は今大会のパトリック・アンダーソンと同じ 25 歳、香西選手は 20 歳を迎える。若きエースたちが 4 年後、世界屈指のプレイヤーたちとどう戦うか、楽しみだ。