ブラジルが来る!
記事:事務局カネコ

9 位 10 位決定戦。イラン対ブラジル。
ブラジルが勝つ、そう思っていた。
結果はイランの勝利。

しかし、どちらも非常に良いチームで、今大会の中でもおもしろい試合の一つだったと思っている。

ブラジルは 12 人中 4 人が 80 年代生まれ、残りの選手も 70 年代後半生まれがほとんどで、 30 代を超えているのはわずか 2 名( 30 歳 1 名と 32 歳 1 名)。非常に若いチームだ。

パラ予選でアメリカと延長戦を繰り広げたという噂どおり、ブラジルは成長の勢いを止められない、というチームだった。中でも注目は♯14マルコス・シルヴァ選手( 22 歳。 3 点) と♯8イリオ・ヌネス選手( 24 歳。 4.5 点)だ。

マルコス選手は小さい。車椅子のセッティングも低めで、是友選手、あるいはカナダのトラヴィス・ガートナー選手のような速さとテクニックを持つ。とにかくボールハンドリングはパトリック・アンダーソンを彷彿とさせ、アウトサイドからキレイなシュートが打てるし、味方に絶妙なラストパスを出せる SG だ。

イリオ選手は攻守ともに要となる選手。

フォワードとして相手を翻弄し、カットインして行く速さを持ちながら、ディフェンスでも常にトークし味方に指示を出し続けている。

最後の最後までほぼシーソーゲームだった。

ところが3 Q で一気に差をつけられ、44−52で終えたブラジルは、4 Q 開始早々、♯7の3ポイントで47−52とし、徐々に追い上げ、ラスト 4 分 3 秒で♯8イリオ選手がファウルを受けてフリースローをきっちり沈めてついに57−57。流れはブラジル!というところでイランがタイムアウト。残り 38.2 秒でゴール前のラストパスをパスミス、痛恨のターンオーバー。そのあともさらにラストパスをスティールされて最終的に63−67でイランの勝利となった。

負けはしたものの、ブラジルは最後までおもしろい試合をしてくれた。

大事な場面で連続でパスミスをするなど、痛いミスはあったものの、それはこういった場面での経験不足から来るものだったかもしれない。また、イランはディフェンスの良いチームではなかったが、高さをもったプレッシャーに、ミスを誘われたところもあるだろう。

また、イランのオフェンス力が勝った、という風にもいえるかもしれない(余談だが、イランのメンバー 12 名のうち半数の 6 名が AZAD 大学、という同じ大学の所属であることが気にかかった。アメリカのイリノイ大学のように、障害者スポーツの取り組みに積極的な大学なのだろうか)。

いずれにしても、ブラジルの若さと勢いは、 4 年後の北京を必ずおもしろくさせてくれるであろうことを予測させてくれた。

試合後、選手たちがコートから去っていったのにもかかわらず、白髪のアフロがトレードマークのブラジルの名物コーチだけは、エンドラインに置かれた椅子に腰掛け、ずっとコートを眺めていたのが印象的だった。

北京では、いや、 2 年後のオランダでも、ブラジルは台風の目になるに違いない。