男子準決勝
2008/09/17 カネコ

 その6年前と同様、アメリカリード、カナダが追いかける展開で始まったこの試合、一時は16点差をつけられつつ前半折り返しで23−35でアメリカがリードする展開となった。

 後半に入り、カナダはアメリカのスピードと機動力に対抗して2大看板の一人、ジョーイ・ジョンソンらを下げ、3.5のデイビッド・デュレポーと2.5のロバート・ヘッジスを投入。
 しかし第3Qもなかなか点差は縮まらず、7点ビハインドで第4Qへ。

 第4Q、ラスト4分12点差あたりで、パトリック・アンダーソンを下げ、アダム・ランシアを投入、そこで出た作戦は、明らかなファウルゲーム。
アダムは30秒以内に2つのファウルを立て続けに行い、チームファウルを4とし、ファウルゲームの準備を整えた。
 ベンチ、選手、すべての戦略を駆使した最後の戦いに、カナダは突入。

 アメリカは前半のシュート確率をキープできず、カナダの追撃にプレッシャーを感じたのか、ファウルゲームに持ち込んだカナダに対してフリースローでこたえることができず。
 最後の最後でパトリック・アンダーソンに劇的な3ポイントを沈められ、第4Q同点、延長戦へ!
 満員の会場は地響きするほどの大盛り上がり!!!
 私たち応援団も、絶叫!!!

 延長戦に入っても全員バスケを崩さないカナダチームは、頻繁にメンバーチェンジをしながらも、パトリック・アンダーソンを中心とした徹底的なオープンスペースからの攻撃を繰り返し、フリーになったローポインターにシュートを打たせる“ピックアンドロールバスケ”をとことん続けていく。

 スーパースター、パトリック・アンダーソンが、その他の追随を許さない能力を活かして一人で得点をもぎとるのではなく、他の4人を活かした全員バスケを徹底するところはまさに圧巻!!!

 再々延長にもつれ込むも、パットの徹底的なマークを続けてきた3点のポール・ショルティ(北九州世界選手権MVP)が力尽き、5ファウルで退場。
 ここで試合は決まったのかもしれない。

 そこからカナダはじわじわと得点を引き離し、最後は逆にアメリカがファウルゲームをする展開へ。

 特筆すべきことは、カナダは4人のローポインターの選手が合計26本のシュートを打ったということ。
 世界のスーパースター、パトリック・アンダーソンのみではなく、彼を中心に全員バスケで戦ったチーム力の素晴らしさ、それは、Jキャンプでもフォーカスをしている“ピックアンドロール”の徹底が支えていた。

 そしてファウルゲームへの切り替えの早さとタイミングの絶妙。

 カナダは、ディフェンス時にファウルを行い相手のフリースローに、ということだけでなく、オフェンスでも自ら果敢にコンタクトを狙ってファウルをとり、時間を止めてフリースロー、というファウルゲームの展開を行った。

 パットが抜けてアダムが入る、と思われる交代を告げるジェスチャーをマイクがしたのを見逃さなかった、うちの応援団のひとりは、
「え?!ここでアダム?!」
と、一瞬その展開の意味を見失ったが、すぐにそれがファウルゲームへの準備であることがわかり、バスケットボールを知り尽くしたマイク・フログリーの戦略に、一同興奮した。

 マイクはいつも言う。
 「カナダもJキャンプも、やっていることは同じだよ」

 その意味が、本当に伝わる試合だった。