大会2日目 日本 VS イギリス (男子)
from しんぺ〜

 日本の初戦は、北京パラリンピックでアメリカを破り、銅メダルを勝ち取ったイギリス。いきなり強豪との対戦だ。今回ホストをしているPOOL-Aのイギリスの対戦相手の順番は、韓国→日本→イタリア→ポーランド→USA。日本はこのグループで5位という読みなのか。イギリスらしいあからさまな組み合わせをしているように見える。今回予選POOLを最低3,4位で予選を通過したい日本にとっては、ここは試金石。イギリスは、体のサイズもUSA、カナダ、オーストラリアに比べ、さほど大きくなく、戦略と機動力で戦ってくるチーム。日本が世界のトップレベルに入るためには、ここから切りくずのが一番いい。

イギリスは昨日韓国を大差で破り、2戦目。日本は今回が初戦になる。
車椅子バスケットボール世界選手権大会 日本VSイギリス
日本のスタートは、(藤本)(鈴木)(増渕)(藤井)(東海林)
イギリスは、(Munn)(Brown)(Pollock)(Orogbemi)(Sagar)で、(4)(3)(2.5)(2.5)(2)のバランスのとれた持ち点の組み合わせだ。

試合は、千葉ホークスの鈴木の3ポイントショットから始まり、日本が一気に流れをつかむ。日本選手権でもよく見る東海林と藤本の見事な連携で、藤本が得点を重ねる。それに加えて、増渕の3ポイントも決まり、日本が主導権を取り続ける。イギリスは、日本のスピードのある攻撃に対応できず、メンバーチェンジをしながら、どのラインナップがうまく機能するのかを試す。
しかし、藤本のペイントエリアでの圧倒的な力を誰も封じ込めることができず、1Qを日本が20-10の10点差リードで終える。(FGは日本が8/16、イギリスは4/10)


2Qに入り、イギリスは北京で銅メダルを獲得したときのメンバーを積極的に投入してくる。しかし、それでも藤本のインサイドプレイは崩れない。イギリスのベテラン選手Munnが藤本の守り方に明らかに苦戦している様子。味方にゲキを飛ばしながら、藤本の守り方をチームで作ろうとするイギリス。

シーソーゲームが続く中、2Qの半ばくらいから、イギリスのカウントプレスに日本が少し戸惑い始める。圧倒的な力を持つ藤本をインサイドでシュートさせないためには、オールコートでプレッシャーをかけ、ボールを藤本に届けない方法が一つの戦略だ。藤本に対するディフェンスを作ると同時に、オールコートでボールにプレッシャーをかける。それが段々効き始める。

そして、イギリスの名シューターのポロック選手、スクリーン&ロールのダイブ裏から3連続ショットを決め、5点差に迫り流れがイギリスに傾く。一方、日本はそこで豊島選手、佐藤選手、京谷選手のメンバーチェンジを頻繁に仕掛け、イギリスの流れを何とか止めようとするが、確実なプレイをしてくるイギリスの勢いを止めることができず、10点差を一気に1点差まで縮められ、前半終了(26-25)。

前半戦を振り返ってみると、藤本選手の得点を起点にして、アウトサイドを積極的に打っていくという日本の戦略は、イギリスを明らかに苦戦させていた。そしてそれを封じ込められたわけではなく、ただその基礎を作っていた東海林選手と鈴木選手のファールが前半で混んでしまったことが、日本にとって痛く感じた。

3Qに入り、イギリスは藤本に対してだけ、オールコートでプレッシャーをかける場面も。完全に藤本1本に絞ったディフェンスをあからさまにしてくるイギリス。3Qの始めでは、イギリスのファールと共に鈴木のアンスポーツマンライクファールが取られ、両チームがフリースローになる。まさに勝負所に差し掛かっていく。

その後一旦、イギリスに大きなリードを許すが、そこでも藤本がチームメイトとの連携で得点を重ねていく。そして鈴木、藤本、鈴木の3連続ショットで7点差を一気に同点に。

それに対して、Pollockが2連続の3ポイントシュートでアンサー。試合は一進一退。3Qの終盤、ポロックが終始丁寧に仕掛けていたスクリーン&ロールからの攻撃が確率よく決まり始め、また藤本がビッグマンのダブルチームに対して苦戦しだす。

日本は一度同点にしたものの、イギリスの的確なオフェンスとディフェンスに少しづつ離され、7点差のリードをとうとう許してしまう。

そして最後の4Q。試合は6点差と8点差を行ったり来たりする。バックピックを使って4対4で攻め込むイギリス。3ポイントシューターのPollockを封じ込めるために日本選手権のMVP豊島がつく。豊島も得意のレイアップで3連続ショットを決め応戦。

しかし、オフェンス、ディフェンスとも終始丁寧に作っているイギリスの試合の流れを引き戻すことはできず、そのまま終了。
59-74でイギリスが勝利した。

いままで立ち上がりの遅い印象のあった日本が銅メダルチーム相手に、ここまで序盤の試合を制したことは大きな収穫だったと感じた。東海林と藤本の連携と鈴木のインサイド、アウトサイドは、今回の試合でも全く崩されることはなかった。ファールが混んでしまって、最後まで力を使うことができなかったのが残念。

★藤本怜央(4.5)が30得点でトップスコア
★Pollock(2.5)が3ポイントシュート3/8
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