大会3日目 日本 VS 韓国 (男子)
from しんぺ〜

 日本と同じゾーンの韓国。アジアオセアニアゾーンの順位は、オーストラリア、日本、韓国の順番。本来ではイランがオーストラリアの次にランクされているが、北京パラリンピックでアメリカ戦をボイコットしたため、2013年1月まで出場できないという制裁を受けている。北京パラリンピックでオーストラリアが金メダル、日本が7位入賞を果たしたことから、今回の世界選手権の枠は3つだったがここで韓国に負けるようなことがあると、将来イランが戻ってきたときに日本は苦しくなる。
韓国が強くなってきているという声が聞こえる中、ここで日本が強さを示す必要がある。
そんな試合になった。

日本のスタートは、藤本、鈴木、増渕、藤井、東海林。
昨日のイギリス戦の1Qでイギリスに対し10点差のリードを作ったチームで、いま一番リズムに乗っているラインナップだ。
1Qの最初から藤本の2連続シュートで始まり、いつものようにトランジションの速い攻撃で、日本のリズムを作りはじめる。一方韓国は、藤本に似たスタイルの5番のキムに積極的にボールを集めるが、なかなかシュートが決まらない。
世界選手権 日本VS韓国
2Qのスタートも増渕のシュートがきれいに決まり、日本のリズムで試合を進める。5番のキムに必要にボールを集めようとする韓国に対し、そこへ徹底してプレッシャーをかける日本。なかなかシュートが決まらない5番のキムが苛立ってくる。ここで鈴木に変えて若い宮島を投入。宮島がファール、オフェンスファール、ターンオーバーと立て続けにしてしまい、韓国の5番キムにシュートを決められ、流れが少しづつ韓国に傾いていく。その後、宮島もシュートで答えるが、韓国4番のキム、5番のキムの連続得点に加え、10番のチョの3ポイントが決まり、一気に2点差まで詰まる。ここで、宮島に変えて土子、増渕に変えて田中を投入するが、韓国の流れが止まらない。ラスト30秒で日本のファールからのフリースローを2本決められ、6点差、その後すぐに速攻を決められ8点差とリードされ前半が終了。(26−34)

前半を終わっての感想は、試合の進め方は日本の方がよい感じがした。しかし、メンバーチェンジをした後に流れが変わってしまうのは昨日のイギリス戦と同じ。長い大会を1つのラインナップで乗り切るのは絶対に不可能。ベンチプレイヤーがいかに流れを変えずにコート上で活躍できるか、これが世界大会で戦い切る絶対条件だ。後半は、ベンチプレイヤーの活躍でぜひ逆転し、勝ちきってほしい!

3Qのスタートは1Qと同じで、藤本、鈴木、増渕、藤井、東海林。一番リズムを持っているラインナップだ。試合は韓国10番の得点に対し、藤本の3ポイントで答える。その後すぐに韓国5番のキムがインサイドで得点。一進一退が続く。3分を過ぎ、鈴木に変え宮島を投入。このメンバーチェンジの繰り返しを頻繁にする岩佐コーチ。2Qでは一気に流れを持っていかれたメンバーチェンジだが、ここには何か意図があるはずだと感じた。3Qの宮島の動きは明らかに2Qの宮島とは違っていた。他の4人との動きが合ってきたのか、増渕のシュートの後に、宮島が2連続で得点をし、一気に7点差を1点差に縮めた。ここで、韓国の主軸4番のキムがアンスポーツマンライクファールをする。そして、4番キムを含めた3人をメンバーチェンジ。

ここで、風向きが一気に日本に変わった。
藤本が丁寧に2本のフリースローを決め、その後宮島、藤井の連続シュートが決まり、韓国を突き放し、3Q終了時には7点差のリードを作る。
4Qは引き続き宮島でスタート。藤本のバスケットボールカウントで10点差にリードを広げる。点差をキープしながら、安定した攻撃を仕掛ける日本に対し、韓国は少し疲れが出てきたように見えた。前半積極的にシュートを打っていた5番のキムもまったくシュートを打たなくなってしまう。しかし、ラスト5分を過ぎたところで、なんだか日本の選手に対する笛が急激に増える。オフェンスファール、トラベリング、オフェンスファールと、そして最後はパスミスで4連続ターンオーバー。「なんかおかしいなぁ〜」と思わず呟いてしまった。そして、この機会を韓国が見逃すわけはなく、この間に5番キム、9番キム、5番キムが連続ポイントをし10点差の壁を破り、最後は6点差に。韓国に流れが傾くのか・・・と思った瞬間、キャプテン藤井がゴール下の難しいタフショットを決め、日本の流れを取り戻す。気がついてみると、残り1分。韓国は少し遅すぎるようなファールゲームを仕掛けてくるが、宮島、増渕がフリースローを丁寧に決め、日本の安全圏にまた戻り、ここで試合終了。(71−55)

この試合の重要性は最初に書いたが、特にこの試合では、鈴木→宮島の交代がうまくいったことが一番の収穫だと思う。予選→決勝トーナメントを考えると、ベンチメンバーをどんどん起用する必要がある。そして、起用しなければならないのが予選だ。そこで、宮島が活躍してくれたことは非常に価値が高い。強豪チームのオーストアリア、アメリカは何度も5人一気にメンバーを交代し、ベンチメンバーが活躍する環境を作り、じっくり決勝トーナメントに備える。ベンチの12人がいつも力を発揮できる状態で7、8試合を戦えるチームワークを持っているチームが必然的に上位にくる。

明日は、ポーランド戦。
ここから1試合1試合が本当の戦いだ!

頑張れ、日本!!!
★藤本怜央(4.5)が25得点、13リバウンド
★藤井新吾(1.5)が11アシスト