大会9日目 男子 9−10位決定戦 日本 VS メキシコ
from 橘 香織


9−10位決定戦の相手はメキシコ。予選B組で4位以内に入ることができず、9位以下の順位決定戦にまわったメキシコだが、実は予選リーグで、決勝進出をきめているフランスに勝っている。スピードはないがかなり大きいビッグマン3枚にひげのシューター(#14)オルテガを擁する、あなどれない相手だ。

1Q 
日本のスターティングラインナップは(#4)藤井、(#8)佐藤、(#5)増渕、(#13)宮島、(#15)藤本。
メキシコのラインナップは(#5)プリエト(4.0)、(#8)ブランカ(3.0)、(#9)バスケス(2.0)、(#13)ルーゴ(1.0)、(#15)ザバラ(4.0)。(#5)プリエト、(#15)ザバラは文字通りのビッグマンで、日本の藤本が大きく見えないほどの体格の持ち主。メキシコはこれまで得点率とアシスト率で個人ランキングのトップ10に入っている(#14)オルテガ(ひげが印象的)をベンチスタートさせる布陣。

日本は(#13)宮島のインサイドショットで先制。対するメキシコも(#15)ザバラのベースラインカットからインサイドシュートをねじ込む。
両チームとも気合のこもったディフェンスでボールマンへのプレッシャーが激しく、残り6分まで得点が増えず2−2。しかし、ここから先に抜け出したのはメキシコ。
ボールがインサイドの(#15)藤本へ集中するところをビッグマンに狙われスティール。そこから一気にアタックされて(#15)ザバラにねじこまれ、残り5分でメキシコ2−6で4点リード。
日本は(#15)藤本へのプレッシャーが強くかかる中、なかなか得点できずに時計が進む。なんとか打開しようと(#4)藤井がトップからのカットインシュートを決め残り3分でスコアは5−8。
残り3分、メキシコはここで(#8)ブランカ(#9)バスケスをさげ、(#7)(#14)オルテガを投入。いよいよひげのシューターの登場だ。
残り1分になり、(#15)藤本が(#8)佐藤のダイブ裏からシュートを決め、9−10と迫る。しかし、メキシコも(#5)プリエトのゴール下シュートで主導権を渡さない。
残り20秒、(#15)藤本の連続シュートで11−12として1Q終了。

2Q 
シーソーゲームの展開は続く。立ち上がりメキシコ(#14)オルテガにシュートを沈められるが、日本は(#15)藤本にボールを預けて(#4)藤井がトップからのカットイン。アルジェリア戦でも藤本にプレッシャーが集まる中、藤本からのアシストパスが出るようになると日本はリズムがよくなった。もちろん藤井はレイアップを決めて13−14。
残り6分、日本ベンチは(#5)増渕に換えて(#7)田中を投入。(#15)藤本のベースラインカットで17−16とし、日本はこの試合はじめてリードを奪うが、またまたすかさずメキシコ(#14)オルテガがトップからのカットインシュートで再逆転。日本も負けずに(#15)藤本がゴール下、ファールをもらいながらねじ込んで19−18。まさに一進一退の展開。
残り4分。日本は(#8)佐藤を下げて(#6)東海林を投入。これが奏功し、速攻から(#6)東海林のレイアップで追いすがる。さらにスピードアップをはかるため、日本は残り1分で(#4)藤井・(#13)宮島をさげ、(#9)鈴木・(#11)豊島を投入するも、25−33へ点差が開いて2Qが終了。

3Q 
日本のラインナップは(#4)藤井、(#6)東海林、(#5)増渕、(#14)土子、(#15)藤本。土子を入れてアウトサイドシュートを厚くする布陣。メキシコは(#5)プリエト、(#11)の2人のビッグマンに(#14)オルテガ、(#8)ブランカ、(#13)ルーゴというラインナップ。
立ち上がり、幸先よく(#4)藤井のシュートが決まり27−33。しかしメキシコは(#11)と(#14)オルテガが立て続けにアウトサイドシュートを決め、27−39とリードを広げる。
一進一退が続き、点差がなかなか縮まらない中、残り5分で(#14)土子に変えて(#9)鈴木を投入。
残り4分(#5)増渕がファールを受けつつねじ込み、さらにワンスローもきっちりきめて34−41。さらに(#15)藤本のゴール下がきまって36−41となったところでメキシコたまらずタイムアウト。
タイムアウトがあけて、日本は(#4)藤井・(#6)東海林の2人がハーフからボールにプレスをかけるディフェンスで撹乱を図るが、(#5)プリエトがエルボーからきめて36−43。負けじと(#15)藤本が3ポイントでアンサー!39−43と日本がじりじりとメキシコを追い詰める。
45−49でメキシコが4点のリードを保ち3Q終了。

4Q
メンバーは(#11)豊島、(#5)増渕、(#6)東海林、(#15)藤本、(#9)鈴木でスタート。 
最後のクォーターに入っても互いに一歩も譲らない。残り6分、(#9)鈴木のアウトサイドシュートで49−51と詰め寄ると、メキシコも(#14)オルテガと(#5)プリエトのスクリーン&ロールから(#5)プリエトが得点して49−53と譲らない。
残り4分、(#9)鈴木が決めてついに53−53の同点に追いつく。ここでメキシコは勝負どころと読んで後半の頭から休ませていた(#15)ザバラを戻す。

残り3分で(#9)鈴木のリフティングによるテクニカルファールの判定。メキシコにフリースローが与えられる。これを(#14)オルテガが一本きめて、53−56の3点差。日本はここで(#4)藤井、(#13)宮島を戻す。残り2分をきって53−57の4点ビハインド。
日本は果敢に攻め込むもターンオーバーのパスミスが2本続いて差をつめられない。
残り1分20秒、日本後半1回目のタイムアウト。さて、どんなエンドゲームになるか。
残り55秒 ボールにプレッシャーをかけにいく日本ディフェンスに対してピックをきっちりかけてノーマークをつくり、ひげの(#14)オルテガが落ち着いて決め、53−59へリードを広げるメキシコ。日本はプレッシャーをかけるように外へ張り出すディフェンスをするよう指示が出ていたが、これがちょっと裏目に出た形だ。残り1分02秒で日本2回目のタイムアウト。
残り48秒、(#15)藤本が魂を込めたミドルシュートを決め55−59。さらにメキシコがトランジションでのオフェンスファールをおかし、日本ボール。すかさずメキシコはタイムアウト。残り45秒で4点差。まさに手に汗握る展開。

エンドスローインから(#15)藤本へボールが渡り、これを決めて57−59。メキシコがボールをスローインした瞬間、(#9)鈴木がメキシコ(#15)ザバラへファール。40秒を残してファールゲームに行った日本。メキシコは(#15)ザバラが2投ともしっかりと沈めて57−61の4点差とする。 
残り31秒で日本ボール。ここも早めのシュートで(#15)藤本がミドルをねじ込んで59−61。メキシコはフリースロー確率が高い(#15)にボールをキープさせるが、再度(#9)鈴木がファールに行く。残り28秒で(#15)ザバラはフリースローを1本目を入れ59-62の3点差とする。2本目ははずしたがオフェンスリバウンドはメキシコへ。ボールを回すメキシコ。残り13秒で(#9)鈴木がスティールしボールは日本へ。残り4秒で放った(#15)藤本の3ポイントは無情にもはずれてメキシコがリバウンドをおさえる。最後までファールゲームをしかけるも、最終スコアは59−63でメキシコの勝利に終わった。

3人のビッグマンとシューターをうまく使い、追いつかれそうになっても慌てなかったメキシコ。対する日本も強いプレッシャーディフェンスをしかけるものの、それをピックのチャンスととらえてピック&ロールからの展開をしかけたメキシコを最後まで崩すことができなかった。

日本男子は今大会を10位という成績で終了した。今大会、アジア・オセアニアゾーンから出場したオーストラリア、韓国、日本のうち韓国と日本はいずれもベスト8以上に入ることができなかったため、来年のパラリンピック予選でアジア・オセアニア地区に与えられる出場枠は2カ国に減ると予想される。
今回の悔しさをバネにして、ロンドンパラリンピックでのリベンジを果たして欲しい。頑張れ日本!