パラリンピック特別企画1~スーパースター・パトリックアンダーソン~その1

ロンドンまでのカウントダウン企画として、
IPC NEWS等で紹介された記事の要約記事などをブログに掲載していきます!
さぁ、ロンドンオリンピックも開幕し、パラリンピックまでいよいよあと1か月を切りました!
応援の準備はいいですかー?

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原文(http://www.paralympic.org/Media_Centre/News/Sport_News/2011_11_09_c.html) 
(2011.11.9掲載)
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PARAPANS: Anderson to Spark Team Canada in Guadalajara
(パラパン:アンダーソンがグアダラハラでカナダチームを奮い立たせる)

メキシコ・グアダラハラで行われるパラパン・アメリカ大会に先立ち、
国際パラリンピック委員会では、それにまつわる世界トップ10に匹敵するほどの興味深い物語を順に紹介している。
その第2章の主人公に選ばれたのは、カナダ男子車椅子バスケットボールチームである。
スター選手が抜けると、チームは全く別物になる。
そのため、間違いなく世界トップの車椅子バスケットボールプレーヤーであるパトリック・アンダーソンが、
音楽の専門で学位を取りたいと言って2008年北京パラリンピック後に代表チームを離れてからは、
ぽっかり穴が開いたようになってしまった。

「ただ、特に何の目標もなかったし、
もうこれ以上、トップレベルでプレーしたいという気持ちも沸いてこなかったんだ。」とアンダーソンは言う。
「何と言うか、責任や意欲が薄れてしまっただけだよ。」
アンダーソンが代表でプレーしていた頃、カナダは2000年シドニーパラリンピック、
そして2004年アテネパラリンピックで金メダルを獲得し、
さらに2008年北京パラリンピックでは銀メダルを勝ち取ったが、
彼が抜けたあと、2010年に行われた世界選手権では力が振るわず、7位に終わった。

そして今年初め、アンダーソンは間近に迫る2012年ロンドンパラリンピックに向けて復帰することにしたのだ。
彼に言わせると「ふと、こんな風に感じたときがあったんだ。
“今後これ以上はもう、トップレベルでプレーすることはできないだろう。だから、これが最後のチャンスだ”
ってね」。
カナダ代表の選手たちは今や、世界中のさまざまなクラブチームか、あるいはプロとしてプレーしているため、
パラパンはそんな彼らのために、2012年ロンドンパラリンピック前に行われる最後の大きな国際大会で、
再びチームとして集まれる機会を与えたのである。

アンダーソンは現在ハンター大学に在籍しながら、アメリカはニューヨークでトレーニングを続けており、
試合の感覚を取り戻すために車椅子をしっかり手入れし、
できるだけチームメートと共に過ごす時間を持つようにしている。

彼はチームメートのことを、スポーツ界の“パイオニア世代である”と述べている。
「カナダでは、車椅子バスケットボールの世界はそれほど大きくないから、
みんながお互いのことをよく知っているんだ。」とアンダーソンは言う。
「まるで、一緒に大きくなってきたような感じにね。
だから、それだけ友情も固く、チームになると化学反応が起きるんだ。」

彼のチームメートであるジョーイ・ジョンソンは、
まさにチームの化学反応を起こすために欠くことのできない選手であった。
1995年以降、ずっと代表チームでプレーしてきたジョンソンは、
現在ドイツのRVS Lahn-Dillに所属し、プロ選手としてプレーしているため、
カナダ代表チームのためにトレーニングをしつつ、少しばかりお金を稼ぐこともできる。
「一石二鳥みたいなものだよ。」とジョンソンは言う。

パラパン前のトレーニングのため、今週、この二人は再びチームメートとして集まることになる。
グアダラハラで彼らに残された選択肢は一つしかない。
「勝つためにプレーするんだ。」と、ジョンソンは言う。
「もし勝てなかったら、物足りないと感じることだろう。
当然、決勝戦で戦うことを望んでいるし、金メダルを手にできる力が十分あると思う。」

今回のパラパン・アメリカ大会ではまず、決勝リーグへ進む前に予選として4試合を戦うことになる。カナダはグループAに入っており、コロンビア、エル・サルバドル、メキシコと同グループで、
アルゼンチン、ブラジル、グアテマラ、そしてアメリカがグループBである。

最終的に上位3ヶ国が2012年ロンドンパラリンピックへの切符を手にすることができる。
ジョンソンが言うには、パラパン大会が始まって以来、
いつもカナダとアメリカがタイトル争いをしてきたようだ。
アメリカは2007年、ブラジルはリオ・デ・ジャネイロで開催された同大会でカナダを下している。
「多分、これまでの傾向の通り、再びアメリカと決勝戦を戦うことになりそうだ」とジョンソンは言う。
「しかし、こんなことを言っても、世界を見渡してみると、どのチームも力をつけてきている。
それは、この間の世界選手権の結果を見れば一目瞭然だ。カナダは7位に終わり、
選手権でプレーしたチームのうち、文字通り下位4チームのうちの一つだった。
つまり、今や世界のトップを数える8チームの差はほとんどないということだ。」

「メキシコが今回は頭角を現してくるような気がする」とジョンソンは続けて言う。
「メキシコは世界選手権への出場枠をかけたトーナメントでブラジルを苦しめたんだ。
ブラジルも強いチームになってきているのに。」
その確固たる指導力とベテランたちのリーダーシップを携えて、カナダは来週からの大会に臨む。
特にアンダーソンは、三度目となるパラパン大会で多くの熱狂的な観客たちに囲まれてプレーすることを、
とても心待ちにしている。
「南米諸国の多くは本気で熱くなって歌を歌い出し、そしてゲームが始まると、
競い合うかのように歌を歌おうとするんだ。」と過去のパラパン大会での印象深い出来事を思い返しながら、
アンダーソンは言う。
「僕らはと言うと、カナダ人はみんなシャイだから、一つにかたまってその様子を眺めて聴いていただけ。
衝突というのではなく、ただの文化の違いだよ。」
それに、アンダーソンは自身が車椅子バスケットボール界にもたらした輝かしい功績に対しても、
ひたすら恥ずかしそうな態度を示している。
「車椅子バスケ界のマイケル・ジョーダン、また真の並外れたスター選手というのは、
自分が輝いているときを自覚しているんじゃないかな。」と、アンダーソンは控えめに述べた。

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北京後、車椅子バスケを離れたパトリック・アンダーソン。
その彼のいない2010年の世界選手権では、カナダはまさかの7位に沈んだ。
この記事で取り上げられていたパラパン大会は、ロンドンパラリンピックの予選でもあり、
ここでカナダはコロンビアにオーバータイムの末に敗戦し、
辛くも三位通過でロンドンパラリンピックの出場権を得るという事態に陥った。
そこからの起死回生を図るカナダチームの今大会での活躍に期待したい。

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ABOUTこの記事をかいた人

Jキャンプスタッフ、広報担当 2007年からNO EXCUSEを撮影し始め、車椅子バスケットボールに関わり始める。 Jキャンプ2008に撮影ボランティアで参加し、その後スタッフになり、 チャンスがあれば海外大会への観戦・取材にも飛んでいく。 【2008年・中国】北京パラリンピック 【2010年・中国】広州アジアパラ競技大会 【2011年・韓国】ロンドンパラリンピックアジア・オセアニア地区予選 【2012年・イギリス】ロンドンパラリンピック 【2013年・アメリカ】全米大学車椅子バスケットボール選手権大会