U25女子大会の総括

元記事 IWBFのHPより(http://www.iwbf.org/index.php/component/content/article/63-u25-for-women/113-u25-final-wrap-up)

翻訳:山本聖子(通訳担当スタッフ)

U25大会を終えて

閉幕式とともに、第1回女子U25世界選手権は終了しましたが、女子車椅子バスケ
ットボール界にとっては、まさに素晴らしい門出となりました。

国際車椅子バスケットボール連盟(IWBF)が、若い選手を対象に年齢別の大会を設け
る必要があると考え始めたのは14年前のことでした。その当時、世界選手権に出場
する選手の平均年齢は男女共に高くなっていました。多くの選手が40代になっても
まだプレーを続けており、若い選手はそんな中、トップレベルでしかプレーできる場
所がなかったからです。そこで、見込みある若い選手がスキルを高め、それを実践で
きる機会がなければ、いつの間にか遅れを取ってしまうのではないか、という懸念が
生まれたのです。

1997年には初のジュニア世界選手権(のちにU23大会となる)がカナダで開催
され、最近では2009年にパリで開催されました。IWBFは苦悩やためらいを感じな
がらも、U23大会を設けることで若い女子選手にプレーできる場を提供していたの
ですが、それが女子選手たちにとって最良の策ではないということに気付き、201
0年のIWBF世界会議で女子U25大会の開催を承認して、ついに2011年7月22
日、カナダのオンタリオ州セント・キャサリンズにて、アメリカが初代女子U25世
界選手権のチャンピオンに輝き、その歴史をスタートさせました。

トーナメント結果概要

7位 VS 8位
南アフリカは経験の浅い選手が多く、これまで海外に一度も出たことがないという選
手がほとんどでした。そのため今大会では、若干不利な戦いをさせられていたように
も考えられますが、試合を終えるごとに成長を見せ、2015年にはきっと今よりも
っと強くなってこの大会に再び姿を現すことでしょう。
メキシコはたった8人という少ない人数での参加であったにもかかわらず、対イギリ
ス戦、および対ドイツ戦では、ハーフタイムの時点でリードしていたほど、果敢にプ
レーしていました。決して諦めることなくプレーし続けていたのですが、どの試合に
おいても、最後のクオーターでは体力の消耗を隠し切れなかったようでした。プレイ
オフラウンドでは、南アフリカを相手についに初勝利をあげ、7位に終わりました。

5位 VS 6位
ドイツはグループBの予選リーグを第2位で終えました。プレイオフラウンドの第1
戦目、すなわち準々決勝でイギリスに38対56で敗戦し、続く南アフリカ戦では勝
利したものの、5位決定戦では意欲みなぎる日本に最後の最後で2点差をつけられ、
6位に終わりました。
日本も8人という少人数でやってきたわけですが、今年3月に起こった大震災の時、
世界中に見せたのと同様に、今大会でもその頑張りをしっかりと見せてくれました。
予選リーグでは第3位という成績でプレイオフラウンドに進み、準々決勝ではオース
トラリアを相手に53対56という接戦で試合を落としてしまいましたが、次のメキ
シコ戦では65対52で勝利を収めました。そのメキシコ戦では、主将である網本麻

里選手が51得点を叩き出し、IWBFの女子世界選手権史上、最高得点を記録しまし
た。最終戦では再びドイツと対戦することになりましたが、日本の勢いは止まらず、
53対51でドイツを破って5位となりました。

3位決定戦
カナダはグループBの予選リーグで全勝し、1位突破でプレイオフラウンドに臨みま
した。準々決勝では63対48でメキシコを破り、準決勝ではオーストラリアに敗戦
しました。銅メダルをかけてイギリスと対戦し、8点差まで詰め寄ることができまし
たが、それ以上点差を縮めることができず、42対62で試合を終えて第4位となり
ました。
イギリスはグループAの予選リーグでは第3位でした。準々決勝ではドイツを56対
38で打ち負かしたのち、準決勝ではアメリカを相手に48対63で敗戦しました。
3位決定戦ではカナダとぶつかり、62対42で勝利を収めて銅メダルを獲得しまし
た。

決勝戦
オーストラリアはグループAの予選リーグで唯一アメリカに勝てず、予選第2位でプ
レイオフラウンドに進みました。準々決勝では56対53で日本を破りましたが、そ
の試合では最後のホイッスルとともに日本チームに3ポイントシュートを打たれ、そ
れが決まらず、試合が終わったという経緯がありました。準決勝ではホスト国である
カナダを60対47で破り、決勝戦では再びアメリカと対戦する機会が与えられまし
たが、39対66で敗戦し、銀メダルを持ち帰ることとなりました。
自信あふれるアメリカチームは、今大会でも着実に勝利をあげていき、グループAの
予選リーグを全勝して第1位で予選を終えました。アメリカは女子バスケットボール
のカレッジ・プログラムを有する唯一の国で、年間を通してプレーし、トレーニング
してきた選手たちの質の高さを示していました。アメリカはプレイオフラウンドも同
様に勝ち星をあげ、準々決勝では73対12で南アフリカを破り、準決勝では63対
48でイギリスを破り、決勝戦ではオーストラリアを66対39で破って、金メダル
を獲得しました。

全試合の詳細、およびU25大会に関するニュースは、大会公式ホームページで見る
ことができます。(http://www.u25wwbc.com)

2011年女子U25選手権大会MVPとベスト5:
 ・MVP - Desiree Miller (3.5) -アメリカ
 ・ベスト5 - Jamey Jewells (1.0) - カナダ
 ・ベスト5 - Cindy Ouellet (3.5) - カナダ
 ・ベスト5 - Rebecca Murray (2.5) - アメリカ
 ・ベスト5 - Mari Amimoto (4.5) - 日本
 ・ベスト5 - Maya Lindholm (2.0) - ドイツ

また、女子U25世界選手権が始まる前から大会中にかけて、何人かの選手にブ
ログを書いてもらっていました。次のサイトから、読むことができます。(http://u25blog.iwbf.org/)

今大会は、IWBFが期待していた通りのトーナメントとなりました。若い女子選手たち
が世界レベルでプレーできるチャンスを望んでいることが分かり、各国がそのために
しっかり準備してサポートしてくれていました。第1回目である今大会に参加した8
3名の選手のうち41名は、2015年の大会への出場権を有しており、さらに20
19年の大会にも出場可能な選手が10名います。だからこそ、U25大会の未来へ
の明るい展望が確信できるのではないでしょうか。今大会を成功裏に収めたことで、
IWBFが女子スポーツ界に新たなチャンスを作り上げようと尽力していることが分かり
ます。今大会の開催国であるカナダも、国内外においてスポーツ振興に熱心に取り組
んでいることを示してくれました。

今後の大会では、多くの選手たちが2012年のロンドンパラリンピックを念頭に入
れてプレーするようになるでしょう。そして、U25大会を経験した選手たちはそれ
ぞれ自国の代表チームに対しても、より良い影響を与えることでしょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

Jキャンプスタッフ、広報担当 2007年からNO EXCUSEを撮影し始め、車椅子バスケットボールに関わり始める。 Jキャンプ2008に撮影ボランティアで参加し、その後スタッフになり、 チャンスがあれば海外大会への観戦・取材にも飛んでいく。 【2008年・中国】北京パラリンピック 【2010年・中国】広州アジアパラ競技大会 【2011年・韓国】ロンドンパラリンピックアジア・オセアニア地区予選 【2012年・イギリス】ロンドンパラリンピック 【2013年・アメリカ】全米大学車椅子バスケットボール選手権大会