“車椅子の姚明”こと丁海 その力強い成長ぶりに世界中からの注目を集めている国、中国―――。
中国の古都として知られる西安で生活し始めて早一年、中国の人々の活気を直接肌で感じながら過ごしてきました。経済だけではなく、今やスポーツ界でも中国人選手の活躍ぶりには目を見張るものがあります。その先駆けとも言えるのが、2002年からNBAでプレーしている姚明選手ではないでしょうか。そして、中国車椅子バスケットボール界には、“車椅子の姚明”と言われる選手がいるのです。それが、丁海選手です。
2008年北京パラリンピック開催時、丁海選手は世界各国のメディアから大変な注目を集めていました。スペインのプロリーグでも活躍しており、2007年はリーグ得点王の一人にも選ばれたほど。毎試合平均30得点以上、最も多いときには一試合46得点という数字を叩き出し、その栄冠にも納得です。スペインでは街中にしろ、試合会場にしろ、とにかくどこでも人気者、特に子供たちは丁海選手のことが大好き。小さな子供が大きなぬいぐるみを抱えながら彼のところにやって来て、プレゼントしてくれた、というエピソードもあるそうです。
2006年4月に初めてスペインのクラブチームを訪れた時、言葉の問題や生活環境の一変から、スペインでの生活を現実のものとしてとらえるのに多少戸惑ったと言われています。しかし「このクラブは20数年もの歴史があり、外国人選手の受け入れ体制もきちんと整っている。海外でプレーする、中国の障害者選手第一号として、逃げるわけにはいかない。」そう決意し、ここから丁海選手の挑戦が始まったのです。2006年10月にはクラブと正式契約し、チームにはかかせない存在となっていきました。
4歳の時に交通事故が原因で左足の膝から下を失ったものの、子供の頃からバスケットボールをするのが大好きで、ずっと健常者と一緒にプレーしてきたため、自分が障害者だなんて全く考えたことがなかったという丁海選手、大物ぶりがうかがえます。身長183cmという恵まれた体格、丈夫な身体、誰からも好かれる性格、これらすべてが今の彼の成功と関係しているように思えます。中国で生活していた時には想像すらしたことのなかった様々な経験を積み、選手としても、また人間としても、成長を続けてきました。
車椅子バスケットボール男子の中国代表チームは、出場12チーム中最下位という成績で北京パラリンピックを終えるという結果ではありましたが、丁海選手への注目度は一気に増したことでしょう。中国との対戦相手国の選手へのインタビューでは、必ずと言っていいほど、丁海選手の名前が挙がっていたのです。
私自身、丁海選手のことを知ったのはつい最近のことなんですが、彼に関する記事を読めば読むほど、もっと丁海選手のことを知りたい！と思うようになりました。プレーは然る事ながら、丁海選手には周りの人を惹きつける何かがあるように思います。それこそが、彼の持つ天性の魅力であり、世界中から注目される所以なのでしょう。
（参考：http://www.china.com.cn/paralympic/2008-09/08/content_16411170.htm）
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