【No.43】 「障害者スポーツとしての車椅子バスケットボールを考えるinドイツ」研修報告3ー現地研修2ー

ドイツ研修についての最後回の今回のコラムは
小学校での車椅子運動導入教室への参加と車椅子ラグビークラブの見学についてご報告します。

【車椅子を使用した運動導入】

Strohkendl先生が教える、車椅子を使用した運動導入の対象者は20名程度の子ども達で、うち障害児は3名でした。このクラスは小学校の課外活動として行われ、十数回の授業に分かれており、最後はキャスター上げ動作の獲得を目指すそうです。
先生は幼いうちから車椅子に触れることで、車椅子や障害者への偏見を無くす目的があるとおっしゃっていました。また障害児にとっても、体を動かし同年代の子供の中で遊ぶことで、心身機能の賦活を図ることも目的としているとのことでした。そのため使用するのは日常用車椅子です。
実際に、私たちも車椅子に乗り子ども達と一緒のプログラムに参加しました。このセッションでは遊びを取り入れながら車椅子に慣れる、というプログラムが多くありました。その中で印象的だったのが、障害のない子が障害のある子のペースに合わせて列に並んだり、協力し合っている姿が自然にみられたことです。
また特に面白いと思ったプログラムに「バンジー」があります。ロープの真ん中につかまり、スピードをつけてマットへダイブするというものです。もちろん自分でダイブができない子は先生が抱えて一緒にダイブしていました。日本では安全性の問題から取り入れられないかもと思う遊びでしたが、このような体験が普段身体を動かすことが少なくなってしまう障害児に対して、良い影響を与えているのだと思いました。

バンジーをしている様子。みんな楽しそう♪
子ども用の普通型車椅子もあります。

☆2013年に日本で行われたStrohkendl先生の運動導入についてはJキャンプスタッフ姉崎がコラムを書いています!
☆姉崎由佳のコラム
No.38 ドイツのStrohkendl先生の障害児・者の運動導入に関する研修会に参加して

【車椅子ラグビークラブ】


ケルン車椅子ラグビークラブの活動もStrohkendl先生が指導をされていました。クラブには中学生から60歳代まで、約35人(うち女性10人、健常者数名)が在籍しているそうです。疾患としては、頸髄損傷、脳卒中、多発性硬化症など様々な方が参加していました。
活動の場所は地域の普通の体育館で、隣のコートでは健常者のバスケットボールチームが活動していました。 このクラブでは、競技性を高めるという目的ではなく、QOLの向上(障害者スポーツの分類だと生涯スポーツに入る)を目的としている、ということでした。活動は2時間で毎週月曜日に開催されているそうです。
始まりや終わりの挨拶などはなく、ゆるーい感じ、という印象でしたが、練習は準備体操・パス・3グループにわかれて各自練習(スイング・2対1・パス)・試合、と盛りだくさんで、特に試合はとても白熱していました。
車椅子ラグビークラブの次に使用していたグループが健常者のバレーボールクラブだったのですが、その準備の合間に車椅子の乗り移りや片付けを手伝う姿がありました。ラグビー組もバレーボール組の手伝いをしたり、おしゃべりしたりと自然にさりげないサポートやコミュニケーションあり、その姿がとても印象的でした。

車椅子ラグビークラブの試合の様子

【最後に】

「障害者スポーツとして」の車椅子バスケについて考えてみよう、という目的から始まった今回の企画…。私自身も健常者としてずっとプレーをしていて、モヤモヤした気持ちがありました。 また、健常者チームとして持ち点のない「車椅子バスケットボール」をするプレーヤーが増える現状にもモヤモヤしており、本当の車椅子バスケの楽しさって何なのか、それを知りたくて考えたくてドイツ研修に参加しました。 ドイツはなぜ、健常者もうまく融合して一緒に車椅子バスケを楽しめているのか…。 ドイツの車椅子バスケ事情を知るうちに、それは障害者スポーツを取り巻く環境やドイツの文化が大きく影響していることがわかりました。

「スポーツをみんなで楽しもう」

ドイツでは、障害のある人がスポーツを始めようとするとき、 自分の住む地域で、様々な目的に応じた活動をすることができます。たとえば、車椅子バスケであれば、5部リーグまで存在しており、 ライフスタイルや目的に合わせてチームを選択することが可能です。
このような環境があるため、障害の有無にかかわらずスポーツを楽しみ、 共有できる時間を自然にもつことができるため、障害のある人に対しての 偏見が起きづらくなる、ドイツにはそんな素敵な世の中にするための仕組みが あるように思いました。
海外で行っていることをそっくりそのまま日本に取り入れることは難しいでしょう。しかし、このような例を多くの人が知ることで少しずつできることが変わっていくのだと思います。
車椅子バスケの楽しさを知り、伝えるための活動を今後も続けていきたいと思います。
このコラムを読んで、何かを感じたり、一歩踏み出そうと思ってくれる方がいたら、とても嬉しいです。私も次なる一歩を踏み出せるように、今後も活動を続けていきます!!

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ABOUTこの記事をかいた人

愛知裕子/あいちゆうこ

Jキャンプスタッフ。広報担当。 2007年に茨城県立医療大学ROOTsで車椅子バスケットボールに出会い、プレーヤーとして活動する。 2009年Jキャンプin茨城にキャンパーとして、2012年Jキャンプin茨城にボランティアとして参加し、 その後Jキャンプスタッフとしての活動を開始する。 現在はROOTs、女子車椅子バスケットボールチームSCRATCHのスタッフもつとめている。