【No.55】決勝逃すも香西はアシスト、藤本は得点でチームの主軸として活躍 ~ユーロチャンピオンズカップ~

ドイツで開催されている車いすバスケットボールにおけるヨーロッパのクラブチャンピオン決定戦「ユーロチャンピオンズカップ」は7日、準決勝が行われた。香西宏昭、藤本怜央が所属するRSV Lahn-Dill(ドイツ)は、CD ILUNION(スペイン)と対戦。東京パラリンピックの出場メンバーがあわせて13人がそろう両チームの一戦は、一進一退の攻防が続き、白熱した試合が繰り広げられた。

第1Qはトミー・ベーメー(ドイツ)とブライアン・ベル(アメリカ)が持ち前のアウトサイドのシュート力を発揮したLahn-Dillに対し、高さのあるILUNIONはインサイドにボールを集め、ゴール下からのシュートを確実に決めていった。そのILUNIONが5点差をつけて引き離しかけた終盤、立て続けにターンオーバーを誘う好守備から得点につなげたLahn-Dillが21-20と逆転して第1Qを終えた。

第2Qで躍動したのは、藤本だ。なかでも終盤のプレーは圧巻だった。34-34と同点の場面では、素早いパスでベルのバスケットカウントとなるレイアップシュートをアシスト。その後、藤本自身が3本連続でシュートを決めて43-38と突き放した。

第3Qでは前半はシュートがリングに嫌われ続けながらも、好守備を見せるなどいつもと変わらない好プレーを続けていた香西がミドルシュートで初得点すると、ベンチからチームメイトが歓声をあげた。これを機にさらに勢いづいたLahn-Dillはベーメーが立て続けに3Pシュートを決めるなどして終盤に得点を積み重ね、59-57とリードを死守した。

しかし、第4QでILUNIONはそれまで影を潜めていたエースのテリー・バイウォータ―(イギリス)が本領発揮とばかりに3Pを含むアウトサイドのシュートを立て続けに決めて逆転。勢いに乗ったILUNIONは徐々に点差を広げていった。

一方のLahn-Dillは香西がこの試合初の3Pシュート。さらにサイモン・ブラウン(イギリス)のパスカットに素早く反応して一人抜け出した香西が、確実にレイアップシュートを決めるなどして食い下がった。しかし、終盤にもバイウォータ―が連続得点したILUNIONに引き離され、77-83で敗れた。

藤本は2Pのシュート成功率72%、フリースローは100%で、チームで2番目に多い19得点と前日に続いてシュート力で貢献。一方、香西はチーム最多のアシスト数(8)を誇り、仲間の得点シーンをプロデュースする役割を担った。

2人にとって初となる優勝とはならなかったが、今日5月8日の3位決定戦に勝てば、藤本にとっては初、香西にとっては19年以来2年ぶり2度目となるユーロカップでの表彰台となる。その相手は同じドイツの最大のライバル、Thuringia Bulls。ドイツリーグ(1部)のファイナリスト同士の戦いは8日22時半(日本時間)にティップオフだ。ユーロカップでライバルを倒し、チームとして5年ぶり、香西、藤本にとっては初となるリーグタイトルに向けて勢いに乗りたいところだ。(文・斎藤寿子)

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新潟県出身。大学卒業後、業界紙、編集プロダクションを経て、2006年よりスポーツ専門ウェブサイトで記事を執筆。車いすバスケットボールの取材は11年より国内外で精力的に活動を開始。パラリンピックは12年ロンドン、16年リオ、21年東京、世界選手権は14年仁川、18年ハンブルク、アジアパラ競技大会も14年仁川、18年ジャカルタの各大会をカバーした。