NPO法人 Jキャンプ

 レポート&コラム

No.4ドイツドイツ全国女子選手権大会
2002/12/19 伊藤 由紀
写真1
日程 2002年6月15日、16日
場所 ドイツ ハイデルベルク
参加チーム 7チーム(1位ハンブルク、2位ドナウボルト、3位ミュンヘン、4位ハイデルベルク、5位ヌッセ、6位ミュンスター、7位ボン)
参加人数 61人

毎年一度行なわれるドイツ全国女子選手権。4年連続優勝で優秀候補のチームのハンブルクが今年も優勝しました。

この大会の特徴
・ドイツの普段のリーグ戦や大会は男女に分かれておらず、男女混合のチームがほとんどです。そのため、この大会のために近くのいくつかのチームに所属する女子の選手が集まり特別に練習をします。私もボンのチームで参加しましが(残念ながら最下位でした・・・)、1月から3週間に1度集まり練習をしました。そのボンのチームでこの大会に参加した選手は普段4つの異なる地域(ボン、ケルン、ドンラート、ノイス)のチームで練習、リーグ戦に参加しています。

・18歳以下の選手は持ち点、マイナス1.0点のボーナスが与えられます。それによって若い選手が参加・出場しやすくなっています。ボンチームは一番多く10人中4人が16歳と17歳でした。

・健常者は1チームに少なくても2人。参加者の3分の1弱は健常者でした。ボンチームは5人と半分。優勝したハンブルクチームも8人中4人と半分が健常者でした。

写真2

☆ちなみに、MEYRA(ドイツの車椅子の会社マイラ)が大会のスポンサーの一つで、大会中パンクしてもタイヤのチューブは無料でもらえました。又、他のチームでは分かりませんが、ボンでは交通費、宿泊代、参加費、Tシャツは全てチームの選手が自分たちで(18歳以下の選手が中心で)探したスポンサーから出たのには驚きました。どのレベルのチームでも比較的スポンサーが得られやすいのはすごく助かります・・・

余談:ドイツの車椅子バスケットボール(健常者の公式戦の参加・女子のボーナス点)
ドイツでは健常者も持ち点4.5点選手として正式に認められ公式戦に出場できます(1992年から)。普段のリーグ戦や、大会は男女混合チームですが、その場合、女子が1人出場するごとにチームにマイナス1.5点のボーナスが与えられます。
つまり;
    健常の女子4.5点選手 → 3.0点、
    女子1点選手     → マイナス0.5点
として参加できます。

今シーズンまで健常者の制限はされていなかったので、健常者が一度に3人出場するということは少なくありませんでした(男子健常者3人同時に出場も可能)。そのためこれまでには、女子のボーナス点をマイナス0.5にするといった議論もありました。しかし結局女子のボーナス点はマイナス1.5のままで変わらず、試合で一度に出場できる健常者の数は男女合わせて2人という規則が来シーズンから導入されます。

写真3さらに現在議論中なのは、18歳以下の選手にさらにマイナス1.0のボーナスを与えるかどうかということのようです。ということは、18歳以下の健常男子は3.5点、健常女子は2.0点(女子ボーナス+18歳以下ボーナス)になります。今のところ反対の人が多く実際にどうなるかはまだわかりませんが、若い選手の養成を重視しようという関係者の試みがここでも見られます。ちなみにシルバーボーナスはありません。

女子選手権に参加してみて個人的な感想

私はドイツで車椅子バスケットボールをするようになって4年、正式にチームに所属し公式戦に出場するようになってから3年になりますが、女子の大会に出場するのは今回が初めてでした。

普段男女混合のチームで3点選手としてフォワードとしてプレーしていたのが、女子チームでは4,5点としてガードか(小さいのに、高い車椅子に乗り)センターとしてプレーすることになり、自分の役割が全く変わり戸惑いましたがそれがまた面白いところでもあり、良い経験になりました。もう少し女子だけでプレーする機会も増えて良いと思うのですが、やはり、全体的に女子選手の数が少なく、一つの地域にいる女子選手の数はどっと減ってしまいます。そのため遠くから集まって練習を定期的にするのは難しいようです。

私たちのチームは年齢差も経験数も色々で、16歳になったばかりの経験の少ない選手から小学校高学年の子供がいる40歳ぐらいのベテランのお母さんまで。でもその差が感じられず、みんなで対等にわきあいあいと楽しいところは楽しく、真面目なところは真面目と、練習・試合に臨みました。キャプテンは最年少の健常者。彼女はこれから期待できそうな選手です。もう1人16歳の1.5点選手(女子の大会では0.5点として出場)はバスケの正式な経験が2年にもかからわらずドイツの代表選手!!ゴールドカップにも来ます。彼女の将来がとても楽しみです。

どのチームを見てもそうでしたが、本気でも誰もがのびのびと試合できる雰囲気があるのが印象的でした。練習が頻繁ではなかったし、大きいセンターに欠けた私たちのチームは、大会の目標も1勝だったのですが、それもぎりぎり果せず残念です。でもその割にはチームワークも良く、ファインプレーも多く見られそれなりに満足です。

また普段のチームの状況、お互いのチームの問題などについて意見を交換しあったりすることができとても良い機会でした。若い選手はまだ伸び盛りなので、これから期待できそうです。来年は2,3勝ぐらいを目指して頑張りたいと思います。

以上

次回はハンブルクでの持ち点制無しの車椅子バスケットボール大学選手権です!

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