NPO法人 Jキャンプ

 レポート&コラム

No.27中国国旗 広州アジアパラ競技大会に向けて
2010.12.08. 山本 聖子

広州アジアパラ競技大会のロゴ45の国と地域が参加して開かれた広州アジア大会は、11月27日に閉会式が行われ、その幕を閉じた。アジア各国および各地域からの代表団がスポーツを通じて団結し、交流し、懸命に戦い、そして共につくり上げた今大会は、大成功に終わったと印象づけられた。
続いて、アジアパラ競技大会が同じ広州の地で開催される。広州アジアパラ競技大会のロゴは赤、緑、青の3色による人間の図案で、障害者スポーツ選手が懸命に戦い、自我を実現させることを表している。形そのものは窓をイメージしており、広州一帯の嶺南文化を受け入れることを象徴している。障害の有無にかかわらず全ての人々が家族のような温かさを感じ、心を通わせ、人類文明の進歩を共有し、共に美しい未来を創ろうという意味が込められている。

そして、マスコットは満開の木綿の木の花で、「芬芬(フェンフェン)」と言い、さわやかな花の香りが人々を包みこんで惹きつけるという意味が含まれている。まるで踊っているかのような5枚の花びらは輝く笑顔を象徴し、競技の楽しさ、そして開催地である広州の誠意を体現している。こののびのびとした健康的な動きには、障害者スポーツの理念や精神が表されており、アジア各国の人々が広州の地の熱い思いやスポーツの感動を共有するという意味が込められている。

また、スローガンは「We cheer, We share, We win !(共に喜び、共に楽しみ、共に勝つ)」である。障害の有無にかかわらず全ての人々が、この情熱あふれた競技大会を楽しみ、障害者スポーツ事業の発展を促進していこうという思いが込められている。オリンピック精神のもと、みんなが一つとなり、アジアパラ競技大会の成功を願っている。

アジアパラ競技大会としては今回が初めてということもあり、会場となる広州では早い時期から様々な取り組みが行われてきた。近郊各都市で障害者運動会なるイベントが積極的に行われ、食事や交通、衛生管理に関わる人たちのサービス意識を高めるための研修が行われた以外に、『広州アジアパラ競技大会知識読本』『広州アジアパラ競技大会競技種目知識読本』といった書物が出版され、大会の2ヶ月前からはインターネットでもその全文が見られるようになっている。『競技大会知識読本』では、
「広州にとって、2010年は特別な1年である。2つの“アジア競技大会”に新たな歴史を刻み、アジア全体をつなぐ素晴らしい舞台となるだろう」
という書き出しに始まり、障害者スポーツの特色、障害者スポーツの意義と社会的価値、中国における障害者スポーツ事業の発展、そして今回の広州アジアパラ競技大会の概況などが130ページ余りにわたって紹介されている。そして『競技種目知識読本』では、今大会で行われる19競技について、その起源や歴史、クラス分けやルールに至るまで、詳しく説明されている。

また、アジアパラ競技大会まであと100日となった9月3日には、“アジアの栄光、生命の光”と題して、アジアパラ競技大会カウントダウンセレモニーが広州天河体育センターで行われた。伝統的な民族舞踊や歌などで観客を魅了し、大会に向けてより一層の盛り上がりを見せていた。
それに、中国の国営テレビ局である中国中央テレビにはスポーツチャンネルが設けられており、24時間365日スポーツに関する様々なニュースが放送されている。半年ほど前からは、ひたすら広州アジア大会、アジアパラ競技大会に関わるニュースが毎日のように報道されていた。会場の様子、注目選手の特集、広州の街の紹介など、人々が、そして国全体がどれだけ大きな期待を抱いて積極的に取り組んでいるかがよくうかがえる。大会中はもちろん、大会が終わった現在でも競技の様子が再放送されている。

さらに、広州アジアパラ競技大会当局のホームページも内容がとても充実しており、大変興味深い。アジアパラ競技大会についての最新情報や会場の紹介、組織としての動向、競技大会の歴史、広州の街の紹介などが隈なく網羅されており、見ていて全く飽きない。
アジア大会の閉会式が行われた翌日、アジアパラ競技大会の中国代表団が結成された。1984年に参加したニューヨークパラリンピック大会以来、最多人数での代表団であり、今大会においても最大規模の代表団となっている。中国の代表団は選手やコーチ、その他スタッフを含めて総勢631人で構成され、下は15歳から、上は49歳まで、平均年齢23.6歳という448人もの選手たちが大会に臨む。選手たちはアマチュアのスポーツ選手のほか、公務員や学生、現役の軍人などで、うち192人が北京パラリンピックにも出場しており、さらに金メダルを獲得した選手が76人であるという。
広州だけでなく、中国にとっても、2010年は特別な1年となるだろう。アジア大会同様、アジアパラ競技大会においても、最多の金メダル獲得となるか、大きな関心が寄せられている。

参考:http://www.gov.cn/fwxx/cjr/content_1470993.htm
    http://www.gzapg2010.cn/


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