NPO法人 Jキャンプ

 レポート&コラム

No.37 カナダゲーム(4年に1度のジュニアスポーツ大会)
2013.01.06. 原田 麻紀子

カナダでは4年に一度、主に10代の選手を対象とした複数スポーツの大きな大会、カナダゲームが行われる。冬のカナダゲームと夏のカナダゲームがオリンピックやパラリンピックと同じように2年ずつ離れて開催され、内容もオリンピックやパラリンピックの規模が小さくなったようなもので、開会式や閉会式が盛大に行われる。障害者スポーツと健常者スポーツは別々には行われず、1つの大会の中で、健常者スポーツもあれば、いくつかの障害者スポーツも含まれている。集団競技は州対抗で、個人競技もメダルを獲得すれば、そのメダル数が州の成績に反映される。

若い選手にとっては、オリンピックやパラリンピックへの登竜門。オリンピックやパラリンピックに出た多くの選手たちは、ほとんど皆、この大会に参加してきた。
車椅子バスケに関しては、人口が少ないため10代の選手ではなく25歳未満の選手が対象。カナダの車椅子バスケのルールに則り、健常者も一緒に参加できる。

車椅子バスケにおいては、人口の少ないなかで選手の年齢と大会が行われる時期のタイミングが、勝利への鍵を握ってしまうこともある。つまり、大会のある年に20歳以上でスキルの高い選手が集中したチームは、その年20歳台ではいい選手がいないため、スキルが高くても10代の選手中心で作られたチームと対戦すれば比較的有利になる。とは言えども、もちろんそれだけが勝利を左右するわけではない。4年という歳月をかけて、いかに選手を育成しチームを育成していけるか。まずはそれが大前提だ。スポーツ、また州によっては、かなりの労力とお金を費やしてこの大会に臨んでくる。また、この結果が、次期カナダゲームに向けての州からの予算を左右するので、シビアに取り組まざるを得ない。

この4年をしっかり準備していく形は、シニアの代表チームや選手がパラリンピックに向けて準備をしている形にも似ている。カナダゲームの主旨はまさにそこにあるのだ。将来オリンピックやパラリンピックで活躍できる選手を育てる。その疑似体験を若いころから経験させている。

BC州は、2010年に行われたカナダゲームでは8チーム中、無念の7位。この4年の準備が十分にされなかったことが一番の敗因であった。
2015年には地元BC州でカナダゲームが開催される。あと3年いかに育成をしていけるか。今回の対象年齢枠にいる選手では、12−14才で期待できる選手が多くいる。あと3年で彼らが体格、体力、技術的にもどこまで成長し、20代の選手たちとうまくチームを作りあげていくことができるか。また、いいコーチがつくだけでなく、あと3年でどこまでコーチも育てていけるか。これがBC州車椅子バスケのジュニアにおける大きな課題だ。キャンプやメンタルトレーニング、大人のリーグなどにも参加して、チーム力をあげる努力がなされている。

さらに、BC州ではカナダゲームの州内版、BCゲームも2年に一度行われる。これはまさに、カナダゲームへの登竜門。様々な理由でここ数年車椅子バスケは参加していなかったが、やはり段階的に育成していく必要性を前回のカナダゲームを通して痛感し、2013年冬に行われるBCゲームに再び参加することを決定。BCゲーム、カナダゲームというステップを踏んで、最終的には国内で活躍、さらに国際舞台でも活躍できる選手を育てあげるのだ。

日本でも国体があり、健常者では若い選手も参加し、のちに国内や国際舞台で活躍していくこともあるだろう。ただ、車椅子バスケに関しては、基本的には大人の参加者が中心。
車椅子バスケのジュニア大会も、若い選手が活躍、成長していくためには欠かせない素晴らしい大会である。しかし、カナダゲームのような大規模な大会を目標に若いうちからトレーニングをしたり、参加する、また育成していける機会があるというのは、若い選手の人口増加、育成、強化によりつながるのではなかろうか。


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