NPO法人 Jキャンプ

 レポート&コラム

No.35 イリノイジュニアエリートキャンプに参加して
2012.08.23. 萩野真世

2012年6月27日〜7月1日の5日間に渡って行われたイリノイジュニアエリートキャンプに参加させていただきました。今回はイリノイ大学在学中の香西宏昭選手に通訳をしていただきました。キャンプに参加した選手は25人ほどでしたが、マイク・フログリーコーチを始め、モデルプレーヤーとしてイリノイ大学の選手が10数名やエリートキャンプと並行して行われたコーチンングクリニックに参加していたコーチなど、たくさんの方々にアドバイスをいただきながら充実した内容の濃いキャンプを送ることができました。

キャンプは午前の部9:00〜12:00、午後の部2:00〜5:00、夜の部7:00〜9:00の3部練習という形で進められました。

イリノイジュニアエリートキャンプ1

1日目はキャンプについてのミーティングと夜の部のセッション、最初の練習メニューは「シューティング」でした。シューティングと言ってもただのシューティングではなく、『ミラーシューティング』『ラインシューティング』『ショートシューティング』という3つのシューティングメニューでした。最初に向かった先は体育館ではなく鏡張りの部屋。自分のシュートを鏡の前で繰り返し打ち、シュートフォームを確認するというものでしたが、自分のシュートフォームをこんなに時間をかけて見つめ直したことなどなかったですし、アドバイスを頂きながら自分に合ったシュートフォームがどのようなものなのかを考え直すことができました。

次は『ラインシューティング』。ミラーシューティングでやっていたシュートフォームと同じようにボールを持っても自分のフォームでシュートを打ち続けること。シュートフォームはボールを持っていても持っていなくても目をつぶっていても常に同じフォームであればボールはいつも同じ方向に行くということでしたが、自分のボールはライン上からずれてしまっていたことからもまだまだフォームが確立されていないということが良く分かりました。

そして『ショートシューティング』。ゴールに近いところからミラーシューティングやラインシューティングでやってきたことと同じように自分のシュートを打つというもの。この3つのメニューを2時間の練習で繰り返し行いましたが、周りの人や周りの雑音など全てをシャットアウトして集中して自分のパーフェクトシューティングを打つということがこんなに難しいことだったのかと初日から大きな発見を得ることができました。

2日目の練習も午前と午後はシューティングを基本とした練習でした。1日目の3つのシューティングメニューをおさらいした後は、『ファンデーションシューティング』『ランニングシュート』『フリースロー・バンクショット』『7カ所シューティング』『プレッシャーありシューティング』『フェイクからのシュート』『フェイクからのドライブショット』『ボールの保持位置が高いポジションからのバンクショット』『ディフェンスありシューティング』『フェイドアウェイショット』『シューティングノックアウト』などなどバリエーション豊富なシューティングメニューでした。これだけ多くの種類のシューティングは普段の練習でやったことがありませんでしたが、自分の得意・不得意なシチュエーションを把握するにはこれくらいのバリエーションや時間が必要なのだと実感しました。午後の練習から3対3のゲーム形式の練習も始まりましたが、日本語の通じないコートの中でどのようにコミュニケーションを取っていけば良いのか、自分はどんなプレーをしたら良いのか英語力の無い私にとっては難題でした。夜の部はパワーカット&パワーピボットについてのセッションと3対3のゲーム、そして練習が終わったその場でビデオにとっていたゲームの振り返りをしました。時間を置かず今プレーしていたことをすぐにビデオで見ることで、良かったプレー・改善した方が良いプレーなど思い返しやすく、振り返ることの重要性を学びました。

3日目からはチェアスキルが始まりました。2分・1分インターバル・2分を6種目、チェアスキルと言っても毎日同じメニューではなく2人1組で2プッシュストップ、ハーフコートトゥや外周フロント&バックなどのプッシュ系だったり、ボールキープ、ショートパスやピック&ロールからのシュートなどのボールを扱うメニューだったり、ティルティング、起き上がる練習やイメージディフェンスなどの1人でこなすメニューだったりと、これもまたバリエーション豊富で自分の力不足な面がはっきりと見え、今後の課題を見つけることができました。チェアスキルの後はいよいよオフェンス・ディフェンスの練習。まずは1対1から。オフェンスでディフェンスのどこを衝けば抜くことができるのか、ディフェンスはオフェンスのどこを止めに行けば抜かれないのか、一つ一つポイントを学びながら実践に入りました。オフェンス・ディフェンスを交互にやっていく中で自分の弱点はどこなのか、何を改善すれば良いのかなど明確に知ることができたことでこれから自分のプレーの中で意識して取り組んでいきたいと思いました。

イリノイジュニアエリートキャンプ2

2対2からは自分だけでなく味方とのコミュニケーションも重要になってきますが、例えばピック&ロールではどちらがピッカーでどちらがピッキーをやるかということ、ディフェンス面ではどのスレットを意識しなければならないのかなどの共通理解を上手く伝えることができませんでした。3日目の夜から5対5のゲームをやりましたが、2人でコミュニケーションが取れていなければ5人ではもっと難しくなります。この日も夜の練習後はビデオ分析の時間でしたが、振り返って見ても同じチームになった人の特徴や相手のどこを抑えなければならないのかなど、情報が少なくまだまだ1つのチームを作るには課題が多くあるなと感じました。

4日目からは2対2をゲームスピードでどう攻め込んでいくかという今までのセッションを思い返しながら実際のゲームを想定した形の練習が中心となってきました。4日目ともなると組んだ相手の特徴を少しずつ掴めるようになってきて、ピック&ロールをしたいのかシールでインサイドに入りたいのかなどのコミュニケーションを取り合えるようになった気がしました。さらにアップのメニューも今までは2人1組や全体での動きが多かったのですが、3面クリスクロスやイレブンパーソンドリルなどコートや相手の動きを意識しなければならないゲームでの動きに近いメニューに変わってきました。5対5をやっているときも5人で共通理解を確認し合いゲームに臨むようになり、昨日までの3日間よりコート内でもトークをしながらゲームができるようになりました。

イリノイジュニアエリートキャンプ3

この日の夜はイメージトレーニングとして「リラクゼーション」とはどのようなものかを体験するというセッションがありました。キャンプの最初のミーティングで『このキャンプはこれから代表選手を目指す選手のためのキャンプでもある』という話がありました。世界と戦うためには精神力を鍛えること、緊張した自分をどのように落ち着かせるかを知ることも大切だということを改めて考えさせられました。

5日目、午前はチェアスキル・2対2や3対3のおさらい、午後はイレブンパーソンドリル・2対2そしてシューティングスキルとしてピラミッドというものをやりました。試合でどんなに疲れている状況でもいつも通りのシュートを打つこと、初日に学んだパーフェクトシューティングを忘れないということを意識してスプリントからフリースローを打っていくというメニューでした。疲れていると確率が落ちてしまうと思いがちですが、パーフェクトシューティングをしていればボールはゴールに入っていくと感じた瞬間でした。夜の部、イレブンパーソンドリルから4対3・5対4とアウトナンバーでの攻めを学び、最後は5対5・4チーム総当たり戦で優勝決定戦までを決めるゲーム大会でした。私のチームは最初のうちは負けていましたが、回を重ねるごとに共通理解が増えていきこの5日間で学んだことを個人プレー&チームプレーどちらとも発揮できたことで優勝することができました。

今回キャンプに参加して少しでも何かを学んで吸収して自分を成長させたいという思いで臨みましたが、期待以上に多くのことを得ることができました。このような貴重な経験をさせて頂けたのもモデルプレーヤーをやりながらも通訳に徹底してくださった香西宏昭選手を始め、コーチングクリニックに参加していた及川晋平氏、橘香織氏、原田麻紀子氏などたくさんの方々の協力があってのものです。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。せっかくいただいたチャンスを無駄にしないためにも、学んだことを忘れず練習を重ねこれからの自分のプレーに少しずつでも発揮し成長していけるように日々精進していきたいと思います。
この度はイリノイジュニアエリートキャンプに参加させていただき、本当にありがとうございました!

 

筆者紹介
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