NPO法人 Jキャンプ

 レポート&コラム

No.13ドイツチャンピオンズカップ ファイナルラウンド2005
2005.07.23. 伊藤 由紀
写真1
Champions Cup Final Round 2005
チャンピオンズカップ ファイナルラウンド 2005
日時:2005年5月6日〜8日
場所:Wetzlar in Germany (ヴェッツラー、ドイツ)
参加チーム(国) :
Group A
RSV Lahn-Dill (ドイツ)
CD Fundosa Grupo Madrid (スペイン)
Santa Lucia Sport Rom(イタリア)
Hyeres Handi Club(フランス) Group B
GSD Anmic Sassari (イタリア)
Toulouse IC(フランス)
RSC Zwickau(ドイツ)
GSD Port Torres(イタリア)

毎年ヨーロッパ各国トップクラスのクラブチームの大会として行われるこのチャンピオンズカップ、今年はイギリス、ベルギー、フランス、スペイン、ドイツ、イタリア、トルコ、イスラエルから15チームがフランスの2都市、イギリスで3グループに分かれて行われ、ファイナルラウンド出場チームが上記のように決められました。

ファイナルラウンドではまずグループA, Bに分かれ4チームが総当り、最終日に順位決定戦と決勝戦が行われました。

この大会の一番の魅力は様々な国の選手が混ざったチームのプレーが見られることでしょう。カナダをはじめ、ドイツ、イタリア、オーストラリア、アメリカ、イギリス、フランスの代表選手、ポーランド、チェコ、スウェーデン、スペインなどのトップ選手で組まれたチームは普段なかなか見られるものではありません。RSC Zwickau(ドイツ)、GSD Port Torres(イタリア)のチームではスタートメンバーのうち4人が外国人選手。車椅子バスケットボールもヨーロッパのトップチームではかなりプロフェッショナル化しているようです。

チームが女子選手と混合というのも特徴的です。ドイツ、イタリア、スペインのチームに、オーストラリア代表、ドイツ代表・元代表、イタリアトップの女子選手が出場していました。車椅子バスケットボールならではのルールといえるでしょう。女子が入ることでチームにボーナス(マイナス1.5点)が与えられるので、4.5、4.5、4.0、1.5、女子1.5(計14.5点)という光景もたまに見られました。スピードも背もかなり差のある彼女たちが得点することはまれでしたが、得点につながるプレーは非常に多く、またすばらしいディフェンスで活躍していたのはとても印象的でした。

写真2

見所はやはり3位決定戦と決勝戦。

3位決定戦:GSD Port Torres(イタリア)対 RSC Zwickau(ドイツ)
初めから大接戦の展開。
Porto TorresのセンターであるSimon Munn中心に得点をとり、リードを保ちますが2クオーターの終わりに4ファールで交替。アメリカ人選手のPriceのアシスト、Troy Sachsの得点によりRSC Zwickauが逆転し2点差。

4ファールでありながら3クオーター目で再び出場するMunnと共に、ポーランド人センターが活躍し、12点差をつけますが、4クオーター目でRSC Zwickau 、Sachsの活躍で2点差に。最後の大事な場面でSachsが退場。それでもRSC Zwickauのセンター Rostislav Pohlmann(チェコ出身)が残り30秒で3ポイントを決め2点差まで迫りましたが最後の最後で届かず・・・かなり白熱した試合でした。
結果:83-80 (37-39)

写真3

決勝戦:RSV Lahn-Dill (ドイツ) 対 Santa Lucia Sport Rome(イタリア)
良いスタートを切りだしたのはSanta Lucia Sport Rom(イタリア)。
試合時間18分目までリードを保ちます。2クオーターの終わりにLahn-Dillのセンター、Joey Johnson(カナダ代表)が2連続で得点を決め逆転。3クオーターの途中、Romeの選手Hussein Haidariの3ポイントが2本決まり4点差まで追いつきますが、そこからRSV Lahn-Dillもいつもの調子を取り戻し最後は10点差まではなして勝利。去年に続き優勝を飾ったのはホームのRSV Lahn-Dill でした。

カナダの代表選手2人(Joey JohnsonとPatrick Anderson)と大半がドイツの代表選手(男女共に)からなるRSV Lahn-Dillが負けることはないだろうと思いながらもハラハラする場面が3クオーターまで続き、RSV Lahn-Dillの試合としては今まで見たことのないような接戦した試合展開でした。
結果:67-57 (14-14/ 28-25 / 50-42)

「ヨーロッパのプレーヤーはアメリカ、カナダに比べて車椅子のコンタクトが多い」とRSV Lahn-Dillのあるドイツ代表選手が言っていましたが、本当に接触が激しいゲーム(審判もヨーロッパ出身なので、すべてがファールをとられるわけでもなく)が多かったのも印象的です。各チームのメカニック担当者は試合中でも車椅子の修理に忙しそうでした。

RSV Lahn-Dill (ドイツ)のホームであるヴェッツラーは小さい町ですが準決勝・決勝戦では1600人の観客が訪れほぼ満席。国内からは若い選手、リーグのレベルを問わず選手などが全国から集まっていました。応援に来ていたフランス代表選手の姿も見られました。そのほかにも各チームのファンクラブ、応援団が集まり会場は熱気にあふれていました。

写真4写真5
結果/順位:
優勝  RSV Lahn-Dill (ドイツ)
2. Santa Lucia Sport(イタリア)
3. GSD Porto Torres(イタリア)
4. RSC Zwickau(ドイツ)
5. GSD Anmic Sassari(イタリア)
6. CD Fundosa Grupo Madrid (スペイン)
7. Hyères Handiclub(フランス)
8. Toulouse IC(フランス)

MVP: Patrick Anderson (RSV Lahn-Dill)
フェアプレーチーム: Hyères Handiclub(フランス)
トップスコアラー: Piotr Luszynsky (GSD Porto Torres)


事務局カネコより)
ちなみに5位のSassariはイタリア代表Fabio Rimondiの所属チーム。オーストラリア代表の若きエース、Justin Eversonなどもこのチームに所属しています。ドイツ、イタリアではこのところ、海外からどんどん選手を招聘しているようで、ヨーロッパ内の試合はパラリンピックや世界選手権につぐ、おもしろい試合が繰り広げられています。こういった大会では、パラリンピックなどに比べると比較的小さな体育館を使用しているので、より近い位置で試合を観戦できる可能性が高いですよ!そんな試合がぜひ見てみたい!という方がいましたらご一報を!

筆者紹介
INDEX
No.40 ドイツ・ブンデスリーガ・・・
No.39 ジュニアの挑戦
No.38 ドイツのStrohkendl先生の・・・
No.37 カナダゲーム(4年に一度の・・・
No.36 Luszynski選手にインタビュー!
No.35 イリノイジュニアエリートキャン・・・
No.34 日本人初のヨーロッパクラブ・・・
No.33 2011年女子U25世界選手権・・・
No.32 「人間の可能性とは?〜ピ・・・
No.31 Jキャンプ茨城2010講師Ste・・・
No.30 北九州チャンピオンズカップ・・・
No.29 俺のセニョリータ
No.28 元・車椅子バスケ代表選手・・・
No.27 広州アジアパラ競技大会に・・・
No.26 “車椅子の姚明”こと丁海
No.25 イリノイ大学男子車椅子バ・・・
No.24 Mugunghwa Electronics・・・
No.23 全国障害者スポーツ大会・・・
No.22 バンクーバーのシティー・・・
No.21 イリノイ大学 個人スキル・・・
No.20 イリノイ大学・ジュニアエ・・・
No.19 女子選手権2008レポート・・・
No.18 イリノイ大学車椅子バス・・・
No.17 イリノイ大学車椅子バスケ・・・
No.16 ガラタサライ インタビュー・・・
No.15 イリノイアスリート、北京・・・
No.14 ショーンノリスインタビュー・・
No.13 チャンピオンズカップ フ・・・
No.12 車椅子バスケットボール・・・
No.11 イリノイ大学短期滞在リ・・・
No.10 エルサルバドル その1・・・
No.9 車椅子バスケットボール・・・
No.8 ウィルチェアラグビー(ク・・・
No.7 女子ヨーロッパ車椅子バ・・・
No.6 日本女子車椅子バスケッ・・・
No.5 International Reha Care・・・
No.4 Deutsche Damen Meister・・・
No.3 男子4ヶ国大会(フランス、・・・
No.2 JUROBA CUP in Bonn(ド・・・
No.1 誰でも参加出来る大会
ホーム > レポート&コラム > No.13
ホーム > レポート&コラム > チャンピオンズカップ ファイナルラウンド2005
page top